イアムアヒーローで有名な花沢健吾さんのデビュー作「ルサンチマン」です。
花沢健吾の漫画は必ず30歳くらいの非モテの男の話が多いですよね。本人がそこにこだわりがあるんでしょう。本作もそんな作品です。以下から解説していきます。
※この記事はネタバレも含みます
登場人物
坂本拓郎(さかもと たくろう)
30歳童貞の男、拓郎は誕生日の日に現実の女を諦め、仮想現実で彼女を作り、恋愛をしようと決める。しかし恋の相手はゲームのキャラなのに他に好きな人がいて困惑する。
越後大作(えちご だいさく)
拓郎の学生時代からの友人。パン工場のピクルス担当で働いていたがクビになりネットゲーム廃人に。
あらすじ
近未来のギャルゲー(恋愛ゲーム)の話です。そのゲームにモテない男たちが飛びつき、大人気となり、主人公の拓郎もその一人です。
なぜそのオンラインゲームが人気なのかというと、ゲームの中でセッ〇スができるから。VRゴーグルをつけ、触感のあるグローブやスーツを着てプレイします。
一緒にゲームをプレイする女の子はゲームショップで買わなきゃいけません。そこで拓郎はあるソフトを見つけて買います。
その女の子は月子(つきこ)。無人島で一人で住んでいました。当然、拓郎は2人っきりで島でイチャイチャできると思っていましたが他に好きな男がいると拒絶されます。
そのことを越後に相談すると特別なソフトかもしれないと言います。普通のソフトはプレイヤーのことを無条件に好きなのに月子はどうやら違う。
ルサンチマンの面白いところ
ネットゲームなのでプレイヤーは現実の自分ではなく、オリジナルのキャラクターでプレイできます。現実ではモテない男がプレイしているので現実とのギャップが笑えます。
↓が越後のゲーム上のキャラクターです。
セリフも面白いですね。
ゲームと現実ではギャップがありすぎ、気持ち悪いとも言われていますが、私は好きですw
現実と仮想現実を行き交う
現実逃避をするためにゲームをプレイしているわけですが、拓郎の買った女の子のソフトは他のゲームの女の子とは違い、攻略するためには努力が必要な相手でした。そこで拓郎は仮想現実を現実のものとするために必死で行動をします。しかし、なかなか上手くいかない。
そんなとき、現実世界でも拓郎に恋のチャンスが訪れ、最終回は現実と仮想現実どちらを選ぶのか?
読んでみた感想。
感想は「とにかく面白い」ですね。
本作はのちに有名漫画家になった花沢健吾のデビュー作であり「むくわれない名作」と評され、他の作品より有名ではありません。
ですが高い評価を受けており、私は花沢健吾の漫画はすべて読んでいるのですが個人的には1番作品です。
私もリアルが上手くいかず生きてきた人間なのにめちゃちゃ共感しちゃいました。そして考えられもした。
一切傷つくことがない、すべて自分の都合の良いほうに運ぶ仮想現実にいるほうがいいのか?何をするにも傷つき、つらい現実社会を生きることが本当なのか?
この漫画には現実世界の肉体が死んで、仮想現実だけの存在になった人物が登場します。
その人物はイケメンで、喧嘩も強く、女性にモテモテなんですが、ぜんぜん楽しそうじゃありません。現実に帰りたいとも思っている。
すべてがすでに満たされている、一つのコンプレックスのない、恵まれた人間になりたいと誰もが思いますが、それを手に入れてしまっても虚しさしかないのかと、考えさせられました。
そして読んだ後になぜだか元気が出ました。やっぱり嫌なことがあっても現実が本当だよなって。
読後感がすごくある良い作品だと思います。
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