私が格闘漫画で一番好きな「軍鶏」を紹介します。
あらすじ
両親を殺害した少年が特別高等少年院に入所するところから物語が始まります。少年は少年院で苛烈なイジメに遭います。そのときに体育の教官から空手を習い、必死で空手を覚えて少年院で生き抜き、出所します。
なぜ主人公の成島亮は両親を殺害したか?
この漫画で繰り返し使われる言葉に
「自分は殺されてきた」って言う言葉があります。
殺されるとは物理的にボコボコにされたり、刺されたりするわけではなくて、心のことです。成島亮はエリートの両親を持ち、本人も東大合格間違いなしと言われた優等生でした。しかし、両親を殺害します。その理由は「あのままじゃ自分がどうにかなっていた。生暖かくて、仕方がなかった。」と。
少年院に入ってすぐに妹が訪ねてきて「あのままじゃお兄ちゃんの心が殺されていたわ。」と言います。表面上優しい両親、しかし、その本質は子供をエリートにするため勉強を強いて、自分のことしか考えない毒親だったのでしょう。
空手との出会い。
亮は両親を殺害し、特別高等少年院に入ります。そこで同室の少年にレイプされ、いじめられ続けます。そこでも亮は「殺される」目に会うのです。
ある時、体育の授業で空手をやります。その教官が亮に空手を教えるのです。亮も日夜、命がけで空手を習得していきます。
そしてかつての自分をレイプした男を倒し、自分をイジメた男を倒し、亮に目をつけている受刑者を次々破り、少年院を生きて出所します。
出所後の敗北。
晴れて出所することが出来た亮ですが、親殺しで全国的に有名な少年である亮が表の世界で生き行けるわけがなく、裏の世界の仕事に就きます。そして夜は街で喧嘩をして暴れ回ります。
そんな日々を過ごしていた亮ですが、いつものように喧嘩をしたら相手に手こずり、そのことがきっかけで自身の空手の実力に疑問を持つようになり、キャッチバーで用心棒をしている元番竜会空手全国3位の猛者と戦います。しかし破れてしまいます。
空手の練習をサボり、素人ばかりを相手にしていたことが負けた理由と分かり、絶望します。
その後ひょんなことから番竜会空手と戦う機会を得た亮は空手の全国大会に出場することになるのです。
亮が闘い続ける理由
少年院を出所し、裏の世界で生きることになった亮。その世界でも腕っぷしは大事なのでしょうが、亮はあえて武器や銃を手に取ることはしませんでした。それを手にしたら「空手」を失うことになる。
亮にとって空手は自分の身を守る術であるのと同時にアイデンティティーでもあります。命がけで寝る間も惜しんで手に入れた空手。その空手が練習をサボっていたことや空手の実力者と闘うことによって奪われてしまうことになる。それを阻止するために普通に考えれば到底敵いそうも強敵に挑んでいくのです。
そのアイデンティティーを守るために空手を続けることは、両親を殺害した時と全く同じ理由で、自分の「何か」を守るための戦いです。
古い漫画なのですが、実は1年ほど前に初めて読みました。そしてハマってしまって、今では格闘漫画で1番好きな作品になっています。興味のある方はぜひ読んでください。見てくれてありがとうございました。
コメント